こころの休憩室(心理コラム)

隠れた才能を見つける方法

ダメな人が必要な理由

働きアリの法則、と呼ばれる自然現象があります。働きアリの2割がよく働き、2割が全く働かず、残りの6割が状況に応じて、働いたり働かなかったりするというものです。最近の研究では、非常に働くアリが全体の3%、全く働かないアリが25%、残りの72%がほどほどに働くアリ、という結果もあります。

こういう話を聞くと、なんで全く働かないアリがいるんだ?と疑問が湧きますよね。何のために、働かないアリがいるんだ、そんなもの要らないじゃないか、と思うのではないでしょうか。

実はこの法則は、アリに限った話ではなく、人間界でも同じような現象が見られます。

会社などの組織でも、2割が優秀で、1割がダメ社員、残りの7割が普通の社員、という割合になると言われています。家族でも同じで、例えば5人家族なら、1人が優秀な人、3人が普通の人、残りの1人がダメな人、となります。

一体、何のためにダメな人が必要なのか、役に立たないどころか、足を引っ張っているだけじゃないか、と腹立たしく思う人もいるでしょう。

働きアリの法則は、まだそのメカニズムが完全に分かっているわけではありません。しかし、有力な説として、働かないアリは、いざというときの予備軍である、というものがあります。つまり、組織に何らかのアクシデントがあったときのために、バックアップとして待機しているというわけです。

人間の場合も同じで、誰かが倒れると、その役割を違う誰かが担おうとするということがよくあります。例えば、お父さんが倒れると、その代りにお母さんが働いたり、子供が学校をやめて働くなどというのは、よくある話ですよね。

集団には、それぞれに役割があり、優秀な人もいれば、ダメな人もいて、それで組織としてのバランスを保っているわけです。ダメな人を、一般的には問題児と呼びますが、この問題児がいることで、実は、組織の結束が強くなります。

給湯室で「あの人ってほんとダメだよね」などと組織内の人の悪口を言うことで、自分が組織の一員だという連帯感を感じられますよね。敵がいると、味方の結束力が高まる、というのと同じように、当人にはそういう自覚はないですが、問題児は、問題児なりに役に立っているわけです。

愛を持って家族を見る

カウンセリングでは、相談者の生い立ち、特に両親のことを伺うことがよくあります。なぜなら、多くの問題の原因は、家族の関わりの中で作られるからです。

両親について伺っていてよくあるのが、「母親が被害者で父親が加害者」という構図です。両親の仲が悪いと、お母さんは子供に、「お父さんにひどいことをされた」という愚痴をこぼすのですが、それを聞いた純粋な子供は、「お父さんは悪い人だ」と思い込みます。

お父さんは悪い人、という先入観で父親を見るので、そういう父親の言動ばかりが目に付き、結果、やっぱりお父さんは悪人だという信念が強化されていくわけです。

しかし、人は誰でも両親から生まれたわけで、両親の気質や価値観を、遺伝子レベルでも、無意識レベルでも受け継いでいます。悪人であるはずのお父さんの遺伝子も、間違いなく引き継いでいるので、嫌いなお父さんと自分は似ている、ということを、どこかで自覚はしています。

しかし、表面の意識では、父親は悪人=父親と似た自分はダメ、と考えるので、決して、自分は父親のようにはならない!父親と自分は違う!と、反発するような生き方になります。しかし、無意識では、父親と自分は似ていると知っているので、本当はそんな自分も出してみたいと、葛藤が起こります。

この葛藤の苦しみは、父親を嫌いな度合いだけ大きくなり、心を疲れさせます。そして、自分が自分であって、でも、本当の自分ではないような、そんな不安を生み出します。

※ここまで、父親が悪人という前提で話を進めていますが、母親が悪人、という場合でも葛藤が起きる点で、全く話は同じです。

カウンセリングでは、一度、「父親は悪い人」という前提を脇において、もう一度、家族全体の関係を見てもらいます。母親の言動も、父親の言動も、中立の立場で愛を持って見てもらいます。すると、それぞれがそれぞれのやり方で、実は「つながろうとしていた」という事に気づきます。

問題は、コミュニケーションの下手くそさにあるのですが、実は、仲良くしようとしていたという事実にさえ気がつけば、両親は悪い人ではなかった、ということにも気づけます。すると、自分の中で否定していた、父親と似た自分を認めることができ、自然に自分の中に受け入れることができます。

両親の嫌いな部分は、実は、あなたの個性の一つです。その個性は、ダメなところではなく、むしろ、あなたを際立たせる魅力です。個性は、使い方次第で、大きな魅力にも偉大な才能にもなります。

愛を持って、その個性を見てあげてくださいね。

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