こころの休憩室(心理コラム)

一茂は天然ではない

今日は、ちょっと息抜き的な、雑談チックなお話です。

最近、長嶋一茂さんが、再ブレイクしていますね。

歯に衣着せぬ独特な発言で、バラエティやワイドショーを賑わせ、テレビで見ない日がないほどです。今日は、そんな長嶋一茂さんの意外な一面をお伝えしたいと思います。

彼は、プロ野球選手としては、天才のお父さんと比べて、凡才と称されることが多いですが、実は、野球のセンスは天才的だったと著名な関係者から一様に言われています。驚くことに、彼が野球を初めたのは、高校生になってからだそうです。

小学生で少年野球を始めたときに、マスコミにつきまとわれて、それが嫌で、以来、野球をずっと封印してしまっていました。それがなぜ、高校で野球を始めたのかというと、それは親の仇を取るためでした。

父親が監督を解任させられたと知り、「俺の大好きな親父をクビにしやがった!」と、父の仇を討つことを決意します。彼の考えたシナリオは、プロ野球選手となって巨人に入団し、人気絶頂の中で、巨人を辞めることで父の雪辱を果たすという、なんとも純粋というか、子供じみたものでした。

しかし、彼は一度決めたことは徹底していて、実際に、高校で野球を始めて、猛練習の末、2年生の秋には4番打者になり、3年生では、甲子園埼玉県予選でチームをベスト4に導くほど成長しました。更に、大学ではキャプテンとなり、4番打者、打点王、ベストナインに選ばれるほどのスター選手になっていきます。

そして、ドラフト一位指名で華々しくヤクルトに入団し、活躍を期待されたのですが……。プロの壁は想像以上に厚く、期待されていたほどの活躍はできませんでした。

その後、念願の巨人に移籍するも、高校時代の猛練習の無理がたたってか、肘や膝を痛めてしまい、結局、大きなを活躍することなく、引退することになってしまいます。

高校生から野球を始めて、プロの選手になった人は、ごくわずかです。それだけ身体能力が抜群に高く、親譲りのセンスもあったのだと思います。

しかし、天才の子供というだけで異常なほどに注目され、それが故に、大人たちのエゴに翻弄されてしまった野球人生だったのかもしれません。

実は人一倍考える人

引退後は、活躍の場を芸能界に移し、最近は、誰にも臆さない物言いが人気となり、再ブレイクを果たしています。

彼を見ていると、この人天然?と思うような発言もたくさんありますが、よくよく話を聞いてみると、理屈が通っているというか、彼なりの理論のもとの発言であることが分かります。

ただ、その発想があまりに突飛すぎて、天然と勘違いされることが多いだけなのだと思います。

この間も、テレビ番組で、ある評論家が、韓国人を差別した発言に対して、「それは違う。〇〇君、謝んなさい」と生放送中に諭す場面がありました。普通なら、叱るのをためらう場面ですが、どんなときでも真っ直ぐに正当なことを言えるのはすごいことです。しかも、自分の考えをよほどしっかり持っていなければ、咄嗟に行動を取れるものではありません。

また、クイズ番組でも、曖昧な答え方ではなく、しっかり根拠を示して解答しているので、非常に論理的な人だということが分かります。非常識な発言が多いので、ともすると頭が悪いと思われがちですが、本当はとても考える人なんですね。

ユニークさは、自信と直結する

お父さんはおそらく、今で言う「発達障害」だと思います。本分である野球以外では、普通の人にできることができなかったようなので、発達障害の可能性が高いと思います。

一方、息子の一茂さんは、発達障害ではないけれど、のびのびと育てられたことで、常識に囚われない自由人になったと考えられます。確かに、常識に欠けるところや無知なところはあり、全ての発言に同意はできませんが、普通では思いつかないような、虚を突いた発言が個人的には、とても好きです。

こういうユニークさは、自分に自信を持つほど発揮されます。

ほとんどの人がユニークでないのは、人に合わせようとしすぎたり、常識に囚われて自分を出せなかったりと、その大本には「自分は自分でいいんだ」という自分への信頼感が持てていないことが原因だと思います。

もちろん、個性が出れば、自己主張も強くなるので、周りとは衝突することも増えます。しかし、それがあって、初めていろんな人たちが”違い”を理解し合い、協力、協調ができる世界が生まれるのではないでしょうか。

本音を言うこと、本当の自分を表現することで、自分と人との違いを理解すること。

その違いを「間違っている!」と拒絶するのではなく「面白い!」と捉える感性を育てていきたいものですね。

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