すべての悩みは思い込みから生まれる
私のカウンセリングには、根本にある考え方があります。それは、「すべての悩みは思い込みから生まれる」というものです。悩みを作り出している思い込みを変えることで、悩みを根本から解決する。これが、私のカウンセリングの最大の特徴です。
私のもとには、様々なお悩みを持った方がいらっしゃいます。夫婦関係がうまくいっていない、嫁姑の仲が悪い、仕事が続かない、人間関係が苦手、人生が行き詰ってしまった、そんなお悩みを抱えた方が、たくさんいらっしゃいます。しかし、そんないろいろなお悩みも、原因を掘り下げていくと、たった一つの答えにたどり着きます。
そう、それが「思い込み」なのです。
悩みを生む「思い込み」の正体
思い込みとは、その人が信じている考え方や価値観のことを指します。例えば、「世の中は怖いところだ」「自分は何の価値もない」「自分は何をやってもダメだ」「愛する人は離れていく」「自分は誰からも愛されていない」など、本人が、これはこういうものだと理解している暗黙のルールや常識。それが思い込みです。
心理学では、その思い込みを「禁止令」や「心のブレーキ」などと呼んでいます。心のブレーキは、本人の無意識の行動やふるまいを決め、あらゆる悩みを生み出す原因になります。例えば、「人を信用してはいけない」と無意識で思っている人は、人に心を開こうとしませんし、人と距離を取ろうとします。あるいは反対に、人を信じなくてはいけないと、むやみやたらに人を盲信して、結果的に裏切られて傷つく、という経験を繰り返す場合もあります。その結果、人と仲良くなれない、仲良くなっても裏切られるという悩みを抱くようになります。
本人は、「それが普通」と全く疑いを持たずに行動しているので、どうしてうまくいかないのか、理由が分かりません。自分なりに努力しているのに、なぜ人間関係がうまくいかないのだろうと、理由が分からないのです。
心のブレーキは、このような人間関係のトラブルや、生き辛さなどといった、苦しみを生み出す元になります。
思い込みを変えると、悩みが消える
この本人が、まだ気づいていない心のブレーキに気づき、より健全な考えへと、自分で修正していくこと。それが、私がカウンセリングで行うことです。長年しみついた考え癖や、行動パターンを変えるには、時間がかかる場合もあります。しかし、根気よく、考え方と行動を修正することで、根本から悩みを解消していくことができます。
なぜか仲間外れにされる女性
思い込みを変えたことで、悩みを解決できた、具体例を挙げてみましょう。ある女性は、「人とうまく仲良くなれない」「グループなど、集団が苦手で溶け込めない」「常に孤独感が消えない」という悩みを持っていました。そこで、幼少期の家庭環境を尋ねてみると、「私はお母さんから嫌われている」という思い込みがあることに気づいたのです。
妹が産まれて忙しくなったお母さんは、「あなたはお姉ちゃんなんだから、一人でできるでしょう」と邪険にされてしまうことが増えました。それまでは、甘えることができていただけに、その経験で「お母さんは私が邪魔なんだ」と深く傷ついてしまったのです。それ以来、お母さんに近づくことができず、そして、家族からも少し距離をおくようになりました。そして、家族に心を開かず、困ったことがあっても、自分で処理をするようになり、やがて友達とも距離を置くようになったのです。
私はその女性に、イメージの中で、子供時代の自分に「寂しいって言ってもいいんだよ」とお母さんに寂しい気持ちを伝えさせ、お母さんから抱きしめてもらうようにお願いしてもらいました。すると本当は、お母さんから愛されていたことに気づいて、長年、心の中にあった、わだかまりが溶けていったのです。
この女性は「私はお母さんから嫌われている」という思い込みが、「私はお母さんから愛されている」という思い込みに変わったことで、自分からグループの中に入っていく自信を持つことができました。そして今では、先輩からも可愛がられるほど、集団の中にうまく溶け込めるようになったのです。
悩みを生む思い込みが一つだけとは限らない
悩みを生み出す思い込みは、たった一つが原因という場合もありますが、いくつかの思い込みが重なって悩みが作り出されている場合があります。例えば、「私は誰からも愛されない」という思い込みを持つ人が、「自分には存在価値がない」「傷つかないためには人を愛してはいけない」といったいくつかの思い込みが複合して、悩みを生み出している、というようなケースです。
思い込みは、例えて言うなら玉ねぎの皮のようなもので、一つの思い込みを変えると、また更に深い部分での思い込みの存在に気が付くということがあります。一つ一つの思い込みを変えていくことで、確実に現実を望ましいものへと変えていくことができます。