こころの休憩室(心理コラム)

晴天の霹靂

その日は夏の青空が広がり、
とても気持ちのいい天気でした。

しかし、正午近くになると
ゴロゴロと雷の音が鳴り響いてきました。

晴天の霹靂だ……。

晴天の霹靂(へきれき)とは、
晴れた空に突然起こる雷のことです。

その様子から、
思いがけない出来事のたとえとして
使われる言葉ですよね。

その時ふと

「そういえば昔、劇団ひとりが書いた
そんな名の小説があったな」

と思い出しました。

確か映画にもなっていたはず、
と思い調べてみたら、
なんとなくその映画が気になって
観てみたくなりました。

ストーリーは、予告編を見れば
想像ができてしまうのですが、
それでも観ようと思ったのは、
親子関係を描いたものだったからです。

大泉洋演じる、主人公の晴夫は、
貧乏暮らしの売れないマジシャン。

絶縁状態の父親と、
自分を捨てた母親のことを恨んでいます。

生きるってどうしてこんなに
難しいんだ……。

何もかもうまくいかない人生を
嘆いていた晴夫でしたが、

ある日、雷に打たれて
自分が生まれる半年前に
タイムスリップしてしまいます。

そこで若い頃の両親と出会い、
自分が生まれてきた意味を
見つめ直していく……

そんなお話です。

親のことを恨んでいる人、
許せない人はいると思います。

私もそうでした。

最初は、父が嫌いだったし、
その後、心理学を学んだら
母のことまで嫌いになりました。

え?

なんで心理学を学んだのに
親を嫌いになるの?

そう思うかもしれませんが、
心理学を学ぶと、自分の過去を
山ほど振り返るようになります。

すると、出るわ出るわ、
母親への怒りや悲しみが
わんさか出てきたんです。

今は、両親には感謝しかないのですが、
以前は、晴夫のように両親のことを
恨んでいた時期もあったんです。

最近は、親ガチャという言葉があるように、
親を当たり外れで考える人もいます。

ガチャと思えば、
多少は気が済むし
運がなかったんだと諦めもつきます。

でも、私が親を恨んでいるときは
何も変わりませんでした。

出来事には、必ずプラス面と
マイナス面があります。

そして、プラスとマイナスの量は
必ず釣り合うようにできています。

なぜなら、それが
この宇宙の法則だからです。

嫌な思いをした分だけ、
必ずそこから得たものがあるし、

逆に楽しかった思い出にも、
気づいていないだけで、
必ず失った何かが隠れています。

私の母はとても厳しく怖い人でしたが、
たくさん愛情も注いでくれました。

でも子供の頃は、叱られると
ただただ怖いばかりで、

「厳しさ=苦痛」

「怒る母=嫌い」

という理解でしかありませんでした。

だから、厳しいことを避けて
安易に楽な方へと逃げてきました。

「厳しさ=愛」

そう気づいてからは、
自分を律することも
少しづつできるようになり
そこから自分が変わり始めました。

もしも母が優しいだけの人だったら、
もしかすると、もっと怠惰でダメな人に
なっていたかもしれません。

子供時代にあなたが得られなかったものは、
必ず大人になって得ることができます。

実際、極貧生活をしていた人が
大金持ちになったり、

学習障害と言われていた人が
博士になったり、

虐待されていた人が
愛のある家庭を築いたりしている例は
たくさんあります。

彼らに共通しているのは、
人生のある時期に壁にぶつかり、
そして、その壁を乗り越えた体験を
していることです。

そして、その体験から、
人生で起きる全てのことに
意味があったんだと気づきます。

あなたが得られなかったと
思っているものから
実はたくさんのことを得ていたし、

あなたが得たと思っていることから、
実はたくさんのことを失っていたのです。

禅問答みたいな話ですが、
本当にそうなんですよ。

親を恨むほど激しく怒っているということは、
そのくらい親のことがむちゃくちゃ大好き
という気持ちが隠れています。

その気持ちに気づくと、
プラスとマイナスが中和されて
穏やかで平和な感覚が訪れます。

私は、この穏やかで平和な感覚を
感じられるようになってから、
生きることがとても楽になりました。

人生のどこかのタイミングで
両親と向き合う機会が必ず訪れます。

そして、両親を赦し受け入れることで
人生の流れはガラッと変わります。

でも、あんな両親のことなんて
許せるわけがない!

そう思う方は、

「嫌ってもいいんだよ」
「許せなくてもいいんだよ」と

その気持ちを感じることを
許してあげてください。

そう呟いていると、
いつか赦してもいいかなという
気持ちに変わってくるから大丈夫です。

今日も応援していますね。

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