声がしたので、振り返ると
女性二人が立っていました。
「研修会社のものですが、
1日3人の方に30分ほどお話をして
感想をいただいています。
話を聞いてもらえませんか?」
なるほど、社員研修かなんかかな?
怖いし、怪しいし、
逃げ出したい気持ちもありつつ
でも、これも人助けだし、人と話す練習だ!
そう腹を括って二人についていくことにしました。
「どんなお仕事をされてるんですか?」
「東京でアニメーターをしています」
「へー!すごい!」
「いえ……まあ……」
「名古屋にはよく来るんですか?」
「いえ、帰省でたまたま……」
「わー!すごい偶然。これって運命ですね!」
「う、運命……???」
そんな世間話をしながらついて行くと
あるビルの一室に通されました。
(え?お茶って言ってたから
てっきり店に行くと思ったのに。
これ、なんかまずい展開かも汗)
「お店だとお金かかりますし、
ここの方が落ち着いて話せますよ」
いまさら嫌だとも言えず、
とりあえず二人の話を
聞くだけ聞いてみることにしました。
「私たち、〇〇という
セミナー会社で働いています」
そう言って、二人が差し出した名刺には、
聞いたこともない会社の名前が
書かれていました。
「実は私たち、あるセミナーを受けて
人生が変わったんです!」
は?セミナー?
さっきから、なんの話だ????
「突然ですけど、私の過去について
話させてもらってもいいですか?」
二人のうち、メガネをかけた
真面目そうな女性が話し始めました。
「ど、どうぞ……」
「私、いつも人目を気にして、
人の期待に応えなきゃって
ずっと気を張って生きてきたんです」
「はあ……」
「長女だし、良い子でいなきゃって
ずっと頑張っていたけど、
本当は、自分に全然自信がなくて。
このままでいいのか、
本当の私ってなんなんだろう?
親ともうまくいかなくて、
仕事の悩みもあって……。
そんなある日、
友達からあるセミナーに誘われたんです」
「はあ……」
「そのセミナーを受けたら、
私の人生が変わってしまったんです!」
「そ、そうなんですか……?」
「それまでは自信がない私だったけど、
自分は自分のままでいいんだ、
自分はもっと素直に生きてもいいんだって
心から思えたんです!」
話の内容はよく分からないけど、
どうやらこの女性は、あるセミナーを受けて、
自分に自信を持てるようになったらしい。
なるほど、これはもしかすると……。
(続く)