こころの休憩室(心理コラム)

セルフイメージは変えられる

セルフイメージは変えられる

あなたは自分のことを、どんな人間だと捉えているでしょうか。
次の5つのうちの、どれに当てはまりますか。

1.自分は優秀だ

2.自分はまあまあ優秀だ

3.自分は平均的だ

4.自分は人より少し劣っている

5.自分は劣っている

とても高い評価をする人もいれば、低い評価をする人もいるでしょう。こういった、自分自身に対するイメージや評価のことを、セルフイメージと呼びます。

セルフイメージは、過去の自分の経験と、親など周囲からの評価によって決まります。特に、子供時代に受けた親からの評価には、大きな影響を受けています。

褒められることが多かった人は、「自分は優秀だ」というセルフイメージを、叱られることが多かった人は、「自分はダメだ」というセルフイメージを持つようになります。

自信のなさナンバーワン

カウンセリングをしていると、とても優秀な人から「実は、自分に自信がなくて……」という話を、よく聞くことがあります。いい大学を出て、いい会社に勤めていて、要職にも就いているのに、本人の自己評価がとても低いんですね。

実は、こういった人は日本では、とても多いんです。日本人は、世界一自信のない民族です。

満13~29歳の若者を対象とした意識調査、平成26年版 子ども・若者白書(内閣府)によると、「自分自身に満足している」という人の割合は45.8%と、諸外国に比べて低い数値が表れています。「自分には長所がある」と思う人は、68.6%と少し高いですが、それでも他の先進諸国の中では最下位です。

どうしてそうなるのかというと、諸説あるとは思うのですが、私は日本の文化と教育に問題があると考えています。

日本では、「間違えない」ということを前提に教育があります。テストをするときも、先生の言うところの正解以外は間違いだと判定されます。

間違えた人、失敗した人は叩かれ、矯正をされます。それだけでなく、人と違うこと、個性的であることも悪と見なされます。

それを裏付けるかのように、先ほどの調査結果でも、「他人に迷惑をかけなければ、何をしようと個人の自由だ」と考える人は41.7%と、諸外国の半分くらいの数値です。

これは、協調性がある、という利点でもありますが、行き過ぎると他人への批判や、人の足を引っ張る行為となります。実際、SNSなどで、ちょっとでも過激な発言をすると、すぐに炎上しますが、これも人との「違い」を許さない、日本人らしい反応だと思います。

なぜ自信がないのか

さて、話を戻すと、傍から見て優秀な人なのに、本人に自信がない理由ですが、それは、親からの評価が低かったためです。自己評価が低い人は、総じて、親がとても厳しかったということがあります。

ちょっとやそっとでは褒めてくれない、あるいは、ダメ出しが多いと「もっと頑張らないと認めてもらえない」と子供は危機感を持つようになります。そして、強迫観念のように、もっと、もっとと、完璧であることを常に求めるようになります。

その結果、優秀にはなれるのですが、心が満たされない、自分に自信がない、という状態は変わりませんし、むしろ、努力すればするほどに、心が飢えるという悪循環になります。

どうしてそうなるかというと、心の中にある前提が、「私は何をやっても、ちゃんとできない」になっているからなんです。

この前提を持つ人は、自分の行為に対して、常に「疑い」を持ちます。「これでいいんだろうか」「これで本当に大丈夫か」と、自分の考え、決定、行動、結果の全てに、不安を感じるんですね。

その結果、何をやっても自信が持てない、更には、何をやるにも意欲が湧かない、という心理状態になるわけです。

心理学では、インナーペアレンツと呼ぶのですが、心の中に、未だに怖い親が住み着いていて、自分を厳しく監視しているわけです。つまり、本当の意味で、親離れができていない状態なんですね。

セルフイメージは変えられる

心理的に親離れができると、低いセルフイメージに悩まされることは無くなります。そして、自分のやりたいことを、自由にのびのびとできるようになります。なぜなら、親の目をもう気にしなくていいからです。親と別居している人、既に親が他界している人でも、心の中がインナーペアレンツに支配されているのなら、親の目を気にしているの同じです。

インナーペアレンツを心の中から追い出すか、あるいは、適度な距離を作れば、本当の意味で自由になります。そして、インナーペアレンツの代わりに、理想的な養育者を心の中に持てば、セルフイメージはどんどん変わっていきます。

セルフイメージは、自分の努力でいくらでも変えることができるのです。

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