感情はコトントロールすべきか
感情を、もっと自分の思いのままにコントロールしたいと思ったことはありませんか?
- うつうつとした気持ちから抜け出せない
- 悲しみから立ち直れない
- 怒りで我を忘れてしまう
- 一時の感情に流されやすい
- やる気が出ない
そんなとき、もっと感情をうまくコントロールできれば楽なのに!と思うのかもしれません。実際、書店に行くと、怒らない方法や、鈍感になる方法、心を鍛える方法など、感情をコントロールするための、ありとあらゆる本が並んでいます。それだけ多くの人が、感情の浮き沈みに、悩まされているということですよね。
しかし、カウンセラーの立場からすると、この感情をコントロールするという方法は、あまりお勧めできません。一時的には効果があっても、そのやり方では、いずれ必ず破たんするからです。
我慢のし過ぎは病気になる
感情をコントロールすることは、我慢をするということです。
本当は、腹がたつけど我慢する。
本当は、悲しいけど悲しくないフリをする。
そうやって、感情を押し殺して、何事もなかったようにやり過ごすのが、感情をコントロールをするというやり方です。そうやって我慢をすると、どうなるかというと、どんどん不満が溜まります。その不満も我慢し続けると、やがてうつになります。
電気のブレーカーが落ちるように、我慢の器がいっぱいになると、自分の心を守るために、無気力、無感情になる。それが、うつの心理状態なんですね。
うつになる人は、それだけ我慢強いわけですが、その我慢強さも、度を超すといろいろなところに害を及ぼします。その害が心に表れれば、うつなどの心の問題に、体に表れれば、ガンなどの体の問題として表れます。そして、本人だけでなく、家族など、身近な人にも害は及びます。ストレスが伝染して、人間関係にも影響が出てくるんですね。
つまり、我慢のし過ぎは、心にも体にも良くないし、周りの人にとっても迷惑なことなんです。これが、感情をコントロールしない方がいい理由です。
ただ、一方で、感情のままに、わがままに行動したら、子供と同じじゃないかという話もあります。確かに、感情のままに、なりふり構わず行動したら、人に迷惑をかけたり、自分の生活にも悪影響が出るなど、それはそれで問題になるわけですよね。
感情は感じることで自然に変わる
私は、感情をコントロールすることをお勧めしません。その代わりに、≪感情を肯定する≫ことをお勧めしています。ネガティブな感情に悩まされている人は、気持ちを切り替えたくて、でもそれがうまくできずに悩んでいるわけですよね。
一つ覚えておくといいのは、変わりたいときは無理に変わろうとしない、ということです。それよりもいいのは、ありのままに今の自分の状態を受け入れること、今の自分を許すことなんです。
あなたは、人から「あなたは今のままでは全然ダメだ!そんな泣き言を言うんじゃない!今すぐに変わるべきなのに!」と頭ごなしに否定されたら、どんな気持ちになりますか。好きな人から言われたら悲しくなるし、関係ない人から言われたら、お前に何が分かるんだよと、腹がたつと思います。そして、行動しようと思っていた気持ちも、一気に萎んでしまいますよね。
子供の頃、親から宿題を急かされたときのことを思い出してみてください。「ちゃんと宿題はやったの?」そう言われると、途端にやりたくなくなりましたよね。そう、人から命令されるのって、誰でも嫌なんです。もちろん、否定されることも同じです。
じゃあ、命令や否定じゃなくて、本当はどうして欲しいのかというと、理解して欲しいんです。「そうか、そんな気持ちなんだね。うん、そういう気持ちわかるな~」「そうそう、落ち込むこともあるよね。私も同じだよ」。そうやって、理解をしてもらえると、すっきりするし、安心します。
そう、理解をしてもらえるだけで、気持ちって簡単に変わるんですね。
これを、自分自身に対して行うのが、≪感情を肯定する≫ということなんです。
「私は今、とても腹がたっている!だって、○○さんが、私にあんなひどいことを言ったから。そりゃ、腹がたって当然だ。それに、あんなことを言われて、とても悲しい。そうだ、私は自分を否定されて傷ついてるんだ。私は大切な自分を否定されたから、悲しいんだ。悲しくなってもいいんだ」
「俺は今、どうしてもやる気が出せない。誰だって、そんなときだってあるよな。いつもいつもやる気に溢れていなくてもいいんだよな。それに、元はと言えば、頑張っているのに、結果がなかなか出ないから、やる気になれないんだ。頑張っても結果が出ないから、とても残念な気持ちなんだ。それに、やる気があるからこそ、落ち込むんだよな。そうだ、落ち込むのは、本当はやりたいからなんだ!そんな自分ってすごいじゃん!」
そうやって、今の自分の気持ちを、ただ肯定していくと、心の中が自然に穏やかになります。
本当の気持ちを理解するとスッキリする
このとき、注意すべきなのは、本当の気持ちを理解することです。誰かに悩みを相談したときに、自分の気持ちを代弁してもらえると、「そうそう!それを分かって欲しかったんだよ!」とすっきりしますよね。でも、相手がとんちんかんなことを言い出すと「そこじゃないんだよなあ……」とぜんぜんスッキリしませんね。
もしも自分の気持ちを肯定しても、心が穏やかにならないなら、本当の気持ちを理解できていないからかもしれません。そんなときは、もう少し丁寧に自分の感情を味わってみる必要があります。
例えば、怒りの下には、悲しみがあるように、感情は玉ねぎのように、何層にも積み重なってできています。一つの感情を肯定すると、次の感情が出てきて、その感情を肯定すると、さらに次の感情が表れるというように、連鎖的に感情が出てきます。
本当に分かってもらいたい気持ちが出てくると、必ずスッキリした感覚があります。なぜか笑えてきたり、肩の力が抜けたり、胸のつかえがとれるなど、リラックスした感覚が体に溢れてきます。それを、ひとつの目安にするといいと思います。
感情の扱い方
1.感情は、ただありのままに肯定するとスッキリする
「親友なら、どう言ってくれるかな?」
その言葉を想像してみましょう。
2.本当の感情に気づくと、スッキリする
「本当はどんな気持ちを分かって欲しいの?」
そう自分に問いかけましょう。
3.変わろうとしなくても変わるときは変わる
無理に変わろうとする必要はありません。変われないときは、ありのままに自分の気持ちを味わってみましょう。
最後までお読みくださりありがとうございます!
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